お母さんへの手紙 ①
とある診察の日、
診察室に入ると
先生が意気揚々としているのがわかる。
診察に入ると、
いつもは自分の状態をはかりながら処方の本を見つけていくのに
この日はもう処方されるものが決まっている感じだった。
処方の内容は、
「お母さんに手紙を書く」
なんでも、
診察に来たとある患者さんがどこかすっきりしているのがわかり、何をしたか聞いたところ、
その方が自分の母親に対して言いたいことを手紙に書いて渡したんだそう。
(当時、健康セミナーやら何やらで患者同士の交流もあり、診察内容をシェアしあったりもしていた)
これは他のみんなにも有効なんじゃないか?
と、診察の時にO-リングで測れるように札が作られていた。
案の定、わたしにもあてはまった。
「お母さんに対して思っていることを手紙に書いて送る」
今のわたしには何てことはないこの作業だけど、当時のわたしには
そんなことしてもいいんだろうか?
大変なことになったらどうしよう?
と、ただただ恐怖だった。
「とにかく思っていることを書いてみたらいいさ」
そして、
「書いたら、ちゃんと書けてるかチェックするから、持ってきてね」
と言われ、診察は終了。
仕方なく、書いてみることになった。